Kinetisマイコンを使う (1)

TWR-K70F120MをChip1Stopで購入。価格は1万6千円ぐらいでした。

FreescaleのKinetisマイコンはCortex-M0+のLシリーズとCortex-M4のKシリーズがありますが、今回購入したK70はKシリーズの最上位のものです。
購入に踏み切った理由としてはDDR2のメモリコントローラーが載っていることで、実は以前mbedでConceptual PrototypingしていたNeverShootをこれを使って発展的に開発しようと計画しています。2メガピクセルのImage Sensorのデータ処理のためのFPGAが必要なくなるから、消費電力とコストの点でメリットがあるかな、と。
(あと自分の仕事の勉強のため、という理由もありますが)


この開発キットは下記の3つの基板が同梱されています。

TWR-K70F120M board with a MK70FN1M0VMJ12 32-bit MCU
TWR-ELEV – Tower System Elevator Modules
TWR-SER – Tower System Serial Module

これらを組み上げるとこうなります。上側のK70の基板と下側のSerial基板とがエレベーターモジュールで挟まれることで接続されます。

ちなみに両側のエレベーターモジュールはプライマリ、セカンダリ、と組み付けに区別があります。白黒に色分けされてはいますが、うっかり間違えそうになりました。

このTower開発環境というのも面白くて、拡張基板としてGainSpan社の超低消費電力WiFiモジュールが載った無線通信基板や、LCD基板、IO基板なんかも売り出されていて、それらを自由に組み付けてプロトタイピングが可能になっています。


次回はこのKinetisの開発環境を試してみるということで、
KEIL MDK-ARM
IAR
CodaWarrior
の3つのIDEを比較してみようと思います。

Project NeverShoot

友人と企画してIPSO Challenge 2013に応募したカメラサービス、NeverShootが本日、フィンランドヘルシンキにて審査を受けました。自分がつくったものが海外から写真をUPしてくるなんて、なんか不思議な体験です。審査の結果がどうであれ、今後の展開を練りたいと思います。

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※追記

惜しくも3位までの入賞はなりませんでした。。
MITもパデューのグループも入賞は逃したようで、アメリカの会社が出していたエナジーハーベスティングなセンサーモジュールとか、スペイン?の大学の研究グループが出していたIoT街灯(実証実験済み)などが賞を得ていたようです。

『サイド・バイ・サイド -フィルムからデジタルシネマへ-』を観た

サイド・バイ・サイド -フィルムからデジタルシネマへ-
http://www.uplink.co.jp/sidebyside/

新宿東口、新宿武蔵野館の近くにオープンしたシネマカリテにて観てきました。
小規模の映画館が次々に閉館する昨今、こういう劇場スタッフの顔が見えるようなシアターができるのは嬉しいことです。応援していきたいと思います。

およそ100年間の映画史において、唯一の記録フォーマットはフィルムだった。だが、過去20年間のデジタルシネマの台頭により、今やフィルムは消えつつある。本作は、デジタルとアナログが肩を並べ─ side by sideで─併存する現在を俯瞰しながら、映画におけるデジタル革命を検証していく。長年、俳優として表舞台に立つ一方、スクリーンの裏側でプロセスの変遷を見てきたキアヌ・リーブスが、自らホスト役となり、映画関係者へのインタビューを通じて、映画史の過渡期である今を切り取っていく。ハリウッドの錚々たる映画監督たちと、撮影監督、編集者、カラリスト、現像所やカメラメーカーの社員らが、キアヌの質問に答えていく。

これは、「デジタルシネマの未来」についての映画ではなく、モノクロからカラーへ、サイレントからトーキーへと、技術とともに常に変化し続ける「シネマの未来」についての映画である。

ともすればこういうドキュメンタリー映画というのは、「デジタル化は悪だ。アナログのほうが温かみがある」、という変な懐古主義にとらわれた作品になりがちだと思います。この映画はその点、とてもフェアな立ち位置でフィルムとデジタルそれぞれのメリットとデメリットを比較していて、とても好感がもてました。たぶんホスト役のキアヌ・リーブスの姿勢によるものも大きいのでしょうね。映画制作者達との対談も終始良い雰囲気で進められていて、それにのせられてうっかり喋りすぎた人たちも多かったのでは。

構成は以下の5段階の行程にフォーカスして、フィルムとデジタルの技術が映画製作に与える影響について議論が進められていきます。

・撮影
・編集
・色調整(マスターイメージ/プリント作成)
・上映
・保存(アーカイヴ)

個人的に大変面白かったのは、ほとんどの行程においてフィルム/デジタルそれぞれの利点と欠点が浮き彫りになるのに対して、上映に関してのみ、すべての出演者が「フィルムはクソだ。絶対にデジタルのほうがいい」と明言していたことです。

「上映のたびにフィルムが痛んでしまい本来の画が再現されない」
「輝度やマスク等、現場の映写技師の技量次第 (暗に上映現場のクオリティの低さが指摘されている)」
「フィルム上映機の機構上、ブレることは避けられないので狙い通りの解像度が出ない」

等々、納得のいくコメントが多々ありました。観客の立場で「映画のデジタル化」を考えると、まず最初に想像しがちなのが「映画館のフィルム映写機が無くなるのかな。」ということで、ここで先に述べた変な懐古主義がふつふつと湧いてくることが多いのですが、映画を製作する立場から考えるとそれは大きな問題ではない。自分の狙い通りの画を観客に届けるのがすべてであって、そのためには不安定なフィルムよりもデジタル上映のほうが望ましいというのは明快な考えです。
(もちろん立場変わって興行側になれば設備投資費や配給システムの問題はあるかもしれませんが)

自分の仕事柄とても勉強になる映画でした。映画ビジネスだけじゃなくて、例えば写真とか出版とか、デジタルだアナログだと議論されることが多い分野に携わる人にぜひ観て頂きたい映画です。

しかしなんて豪華な出演者達だろう。皆一様に眼光の鋭さが半端ではなくて、これが映画監督の凄みなんですかね。

2012年に観た映画をまとめる

映画館で観たものをまとめてみた。

ヒミズ (@TOHOシネマズ海老名)
ヒミズ (@立川シネマシティ)
ドラゴン・タトゥーの女 (@新宿バルト9)
メランコリア (@TOHOシネマズ海老名)
シャーロック・ホームズ シャドウ・ゲーム (新宿バルト9)
ハンガー・ゲーム (@新宿ピカデリー)
ミッドナイト・イン・パリ (@新百合ヶ丘アルテリオ)
ダークナイトライジング (@新宿バルト9)
ダークナイトライジング (@TOHOシネマズ 六本木ヒルズ)
トータル・リコール (@TOHOシネマズ府中)
アベンジャーズ (@新宿ピカデリー)
プロメテウス (@TOHOシネマズ海老名)
アウトレイジ・ビヨンド (@新宿バルト9)
アルゴ (@新宿バルト9)
007 スカイフォール (@AMC Tysons Corner)
リンカーン (@AMC Tysons Corner)
ヒッチコック (@AMC Tysons Corner)
ホビット part1 (@新宿ピカデリー)

以下、劇場では観なかったけど記憶に残った映画
J・エドガー
おおかみこどもの雨と雪
桐島、部活やめるってよ

Kick Ass Start

always @(posedge i_sys_clk) begin
  if(i_reset) begin
    q1 <= 0;
    q2 <= 0;
  end
  else if(i_sw) begin
    q1 <= 1;
    q2 <= q1;
  end
  else begin
    q1 <= 0;
    q2 <= 0;
  end
end

assign o_kick_ass_start = q1 & (~q2);

『The Dark Knight Rises -ダークナイト・ライジング-』を観た

先行上映@新宿バルト9で鑑賞しました。多分2〜3回は観るだろうな、という予感からまずはお手軽に2K DLPプロジェクター*1で、その後IMAXディジタルで観るという計画です。多分コンテンツは2K配給だと思うけれど(*実は4K配給の劇場もありました)、時間が許せばSONYの4Kモデルでも観る予定です。

詳細を書くと野暮になってしまうけど、IMAXカメラ*2で撮影された凄まじい映像の迫力とH・ジマーのモティーフを多用した一貫性のあるサウンド、3時間近い長丁場をフィナーレに向けてグイグイ引っ張っていくストーリー構成に脱帽しました。上映終了後に拍手が起こったけれど、必然ですね。
同じくC・ノーラン監督作品のバットマン・ビギンズ/ダークナイトを観ていない人は必ず観て行った方が楽しめるし、できることなら旧バットマンシリーズも観てから臨むべき作品。まさかあのジョゼフ・ゴードン=レヴィットが!なんてこった!ってことでラスト30分でニヤニヤが止まりませんから。

あと、邦題で『ダークナイトライジング』とされているのは改悪でしかないですね。本当に、本当にセンスがない。真摯に観れば『The Dark Knight Rises』という原題の本質が理解できるはずなのに。


さて、映像に着目すると70分近くのシーンがIMAXカメラで撮影されたらしく、アスペクト比の関係から2K DLPプロジェクターでの上映では上下がカットされているよう。それでも冒頭の飛行機のシーンや縦横無尽にビルの谷間を滑空するモービル、無数の人が入り乱れるアクションシーンの迫力は素晴らしかったけれど、やはりIMAXディジタルで観たほうが効果的だと感じました。できることならアメリカに行ってフィルムIMAX上映で観たいものですね。。

ちなみにこのIMAXカメラ、高級車が数台買えるような超高価格であるしそもそもオーダーメイドに近い代物ですが、本作スタント撮影中にぶっ壊してますね。ああ勿体ない。

*1:テキサス・インスツルメンツ社のDMDバイス、及びその周辺技術のDLPシステムをコア技術としたディジタルプロジェクター。市場に普及しているモデルの解像度はHDを横方向に拡張した2K(2048×1080)。シネマ用途のDCIコンプライアンスに準拠した高輝度モデルを開発/製造しているのは世界で3社しかなく、日本のウシオ電機が親会社である米国クリスティ社、ベルギーのバルコ社、日本のNECディスプレイテクノロジー。ディジタルシネマのプロジェクター業界ではこのDLP勢力と、SONYが開発/製造している反射型液晶デバイスを使用して35mmフィルム同等の解像度4K(4096×2160)を実現したモデル(日本ではTOHO、T-JOY、109などに導入)がシェアを争っている。

*2:カナダのIMAX社が開発した撮影/上映規格。従来使用されていた35mmフィルムではなく巨大な70mmフィルムを用いて撮影/上映する。上映に関しては70mmフィルムを使用するIMAXと、2K解像度のDLPプロジェクターを2台使用するIMAXディジタルに区別される。この2つの上映方式は全くの別物と考えてよく、フィルムIMAXは高画質かつ大画面での上映を目的にしているのに対して、ディジタルIMAXは3Dの左目/右目用映像を2台それぞれのDLPプロジェクターに割り振り高輝度の3D映像を上映することを目的にしていると考えてよい。フィルム上映とディジタル上映の解像度は雲泥の差で、70mmフィルムによる解像度はHDの8倍以上の8K〜15Kに相当するとも言われる。ちなみにこのフィルム上映システムは日本ではもはや存在せず、アメリカでも減少傾向にあるらしい。

園子温の『ヒミズ』を観た

ヒミズ 1 (ヤンマガKC)

ヒミズ 1 (ヤンマガKC)

 スタッフロールが終わって照明がついても、すぐには立ち上がることができずに放心していた。いますぐにもう一度観たいと思わせてくれる素晴らしい映画だ。2012年は『ドラゴンタトゥーの女』『ものすごくうるさくて、ありえないほど近い』『アメイジングスパイダーマン』『ダークナイトライジング』『プロメテウス』など、予告編を観るだけで面白いと思わせてくれる映画が公開される豊作年になりそうな予感がしているのだけど、その口火を切ったというか、現時点で去年観たどの映画よりも素晴らしい映画だと言えるものだ。

 僕が原作の漫画を読んだのは数年前で、そのときはエンディングの悲惨さもさることながら、次々と人間の汚さを見せられる展開に「気持ち悪い」という感想をもった。いま読み返すと、もしかすると少し違った感想を持つのかもしれないが、それでも読むのにかなりの精神力を必要とするだろう。あのとき作品全体を覆っていたのは、倦怠感だった。
 しかし、園子温監督と、染谷将太と、二階堂ふみが作り出した『ヒミズ』を覆う空気は、それとは違うような気がする。この映画全体を覆っているのは、震災後の日本を覆っている言いようのない不安感だ。「自粛する」「いや自粛なんてするな」「頑張れ」「頑張れなんて酷なことを言うな」というやりとりから受け取る居心地の悪さだ。原発放射能、そしてそれらを解決できない硬直したシステムといった、誰かを指差して批判することができない人間の業だ。そういう種類のストレスなのだ。そしてこの映画は、そういう言いようのないもの全てにNOを突きつけ、僕たちを泥沼から引っ張り上げてくれる熱量を持っている。ある種の救済と言っておかしくはないだろう。これはとてつもなく凄いことだ。

 あまりストーリーに触れすぎるとこれから観る人の邪魔をしてしまうことになるので、視点を変えて映像に着目すると、深作作品へのオマージュかというぐらい激しい殴り合いシーンだったり、 二階堂ふみがごろごろと転がってパンツをさらけ出すコミカルなシーンだったり、夜明けの空に銃を放つシーンだったり、もうこれしかない、というような完璧なシーンが多々ある。被災地石巻の映像とシンクロさせたシーンはベタではあるけれど、多くの人の心を打つものだ。

 もう一度言うけれど、素晴らしい映画だ。劇場での公開を見逃すと、心の底から後悔する映画だ。